今回は家づくりの方位と日当たりについて設計目線のポイントを書いていきます。
家の住み心地を決める要素のひとつが日当たりです。日当たりがよく、家の中にたくさんの光を取り込むことが出来れば、そこに住む人たちの暮らしを明るく豊かにしてくれます。
それだけではなく家族の健康にも良い影響を与えてくれるのです。
では日当たりのいい家をつくるために、重要になる部屋の向きや太陽の方角を考えた家づくりを紹介していきます。方角によっても日の当たる状況や時間は異なりますので、十分に特性を理解して理想の住まいを考えていきましょう。
■生活リズムを整えてくれる
皆さんも太陽の日差しを浴びると、なんだか元気になったり、今日も頑張ろうとやる気が湧いてくることはありませんか?
太陽の光には体内時計を調整する働きがあるため、朝や昼の時間帯に日の光を浴びることで生活リズムを整えることができます。日中に光を浴びることで、睡眠や体温リズムの振幅を大きくし、メリハリのある生活が送れるようになっていきます。
■体の健康維持になる
太陽光は、身体の健康のために大事な栄養素である「ビタミンD」を体内で生成するために必要となります。
皮膚に日光を浴びることで体内に生成されますが、ビタミンDを多く含む食品は限られているので、日光を浴びないとビタミンDが不足しがちです。
このため、外出不足や日焼け止めを多用することで日光(特に紫外線)を浴びる時間が不足しないよう気をつける必要があります。1日の日光を浴びる目安は、20〜30分あると良いと言われています。
■冬でも暖かく過ごせる
日当たりのいい部屋は、冬の寒い時期でも太陽の日差しが差し込むことで部屋の中を暖かくしてくれます。
部屋の中が自然と暖かくなれば暖房を必要としない時間帯が増え、光熱費の削減にもつながり家計にもやさしくなります。
■洗濯物が乾きやすい
日当たりのいい部屋に洗濯物を干すことが出来れば素早く乾かせます。
花粉症や梅雨の時期などでも安心して室内で洗濯物を干せるので意外と重宝します。
また洗濯物が乾きやすいだけでなく、ジメジメとした湿気が溜まりにくいので、カビが生えにくく室内の衛生環境を保ちやすくなります。
太陽の動きを考慮して方位に適した部屋を考えることは重要です。
当然ですが、太陽は東から上がり、正午には真南で最も高くなり、そして西へ沈みます。
この太陽の動きを上手に取り入れましょう。
1.窓から日差しを取り入れる
朝起きてから太陽の光を浴びることは、体内時計をリセットし、気持ちの良いスタートを切ることが出来ます。
特に寝室や子供部屋に日が昇る方角である東に向いた窓があると、自然と朝日を取り入れることが出来るので健康的で規則正しい生活が送れます。
朝起きたら、顔を洗ったり歯を磨いたり洗面スペースを利用しますよね。
寝室以外にも洗面スペースに朝日が取り入れられたら、とても気持ちがよいです。
リビングや物干しスペースであれば、東側と南側に広くスペースを取り、そちら側に大きく窓を配置すれば日当たりよくなり快適に過ごせます。
ただ、すべての部屋を東や南に向けることは出来ませんので、朝起きてから家を出るまでの動きや日中の生活スタイルをイメージしながら間取りを考えてみましょう。
2.家の日当たりの方角が悪い場合の対策
南側に建物があったりしてどうしても日が入りにくい土地もあります。
その場合には、間取りや窓の位置を工夫してみましょう。
例えば吹き抜けなどで天井を高くして2階の位置に設けた窓や天窓から、リビングに光をたくさん取り込める間取りがおススメです。1階の窓から必ずしも取り込む必要はありませんので、家全体でバランスを取ることが大切です。
ちなみに北向きの土地にもメリットはあります。道路に面さずリビングを設けることが出来るので、通行人の目線を気にせず大きな開口を設けることが可能です。
広いデッキをつくったりすれば、プライベート感を味わえるのも北向きの土地ならではのメリットです。
3.インテリアで工夫する
暗くなりやすい部屋であれば、インテリアを活用することで部屋全体を明るく見せたり、光を効率的に取り込むことも出来ます。
例えば内装をホワイトやパステルカラーのような明るい色を使うことです。
これだけでも随分と明るさや部屋の印象が変わりますし、間接照明を設置すればオシャレで明るい空間を演出することも出来ます。
家の中以外にも庭やテラスに光を反射しやすい白砂(はくさ)や玉砂利を敷き詰めておけば、外からの明るさを家の中に取り組むことも有効です。直射の日差しと違うので、柔らかな光を取り込めて落ち着いた印象のお部屋になります。
方位や日当たりと建物の位置関係を考えながら、快適で健康的な住まいをつくりましょう。
日当たりが確保しにくくても、設計次第で解決できることもありますので、太陽の動きや周辺の環境にも目を向けて家づくりを考えてみてはいかがでしょうか。
それでは、楽しい家づくりを!