今回は階段について設計目線のポイントを書いていきます。
2階建ての住宅はもちろん、お店や学校、病院など身近なところにある階段。
階段には上の階と下の階をつなぐという基本的な役割がありますが、それ以外にも求められるものがあります。
階段に求められる他の役割とは安全性・機能性・デザイン性です。
その中でもこちらの3つのポイントに絞って解説していきましょう。
▼階段設計の3つのポイント
住宅でよく利用される階段をご紹介します。
①直階段
階段といって最初に思いつくのがこの直階段ではないでしょうか。
曲がったり、折り返したりすることなく、まっすぐ上の階と繋がっている階段のことです。
階段の途中に踊り場といわれる平らなスペースを設ける必要がなく、広いスペースを必要としないので、小さい家でも活用しやすいです。
シンプルな構造なのでコストも安く抑えられます。
ただ、足を踏み外した際に一番下まで転がり落ちてしまうので気を付けなければなりません。
②かね折れ階段
かね折れ階段は、途中でL字型に折れている階段のことです。
途中に踊り場を設けることができるので、上りやすくなったり、踏み外したときに一番下まで落ちてしまう危険性は低くなります。
③折り返し階段
こちらはU字型(もしくはコの字型)に折り返した階段のことです。
折り返した部分に踊り場のスペースも確保できるので比較的上りやすい階段です。
ある程度スペースを必要としてしまいますが、傾斜が緩やかになり安全性が高いメリットもあります。
階段での転倒や転落事故をできるだけ防ぐ為に、安全な階段を設計することはとても重要になります。
注文住宅の場合、デザインや間取りなどを自由に設計できますが、階段の場合は寸法が建築基準法で決められています。
一般住宅の場合、蹴上げ(階段の高さ)は23㎝以下、踏面(足をのせる踏み板)は15㎝以上とされています。ただ、これはあくまで最低基準です。一段の高さが20㎝以上もあると上りにくく、また踏面が15㎝だと大人の足では小さく感じてしまいます。
上り下りしやすい階段というのは、〈蹴上げ×2+踏面=60㎝〉になるようにすると良いとされています。たとえば、蹴上げを19㎝、踏面を22㎝にすると、ちょうど60㎝になります。
間取りを考える時に、リビングや部屋の広さを重視するばかりに、階段を後回しにして十分な広さを確保しないことで、安全性を見落としがちになる場合もあります。
例えば階段の段数を減らして広さを縮めた為に、1段の高さが少しづつ高くなってしまうことで上りにくかったり、転落の危険性も出てきます。
特に、2階リビングなどにした場合には、階段を利用する頻度が上がるため、その分、安全性にも十分考慮した無理のない階段を設計することが重要になります。
●階段下にスタディスペース・ワークスペースを設置する
リビングに設置した直線型の階段は、蹴込み板のないスケルトンタイプなどにすることで空間に溶け込むようになります。
階段下にはお子さんのスタディスペースやパソコンで仕事をする場所になります。家族みんながちょっと作業したいなというときにとても便利です。
●オープン型の階段にする
スケルトンやシースルーとも呼ばれるオープン型の階段は、蹴込み板がない踏む板だけの階段です。
一般的な箱型タイプの階段とは違い、階段の向こう側が透き通るように見えるので、空間の奥行きや開放感を得られることが出来ます。
階段自体の圧迫感がなく、リビング階段として設置しても光や風を遮ることがないのも特徴です。
最近では、オープン階段を窓側に配置したり、外の景色を取り込める位置に配置したり、空間を広くおしゃれにする場合におススメです。
●階段の途中にスキップフロアを設置
スキップフロアとは、建物の床の高さをずらして中間に設けるスペースのことです。
階段に設置する場合は、折り返しの踊り場を広くして活用します。
リビングやキッチンにいても、一つの空間として家族が会話を楽しめます。
スキップフロアはお子さんの遊び場やお昼寝スペースとしてもピッタリです。
●階段下をパントリーとして活用
キッチン横の階段を設置した場合には、階段下を上手に利用してパントリーをつくるものおススメです。スペースを上手に使えば収納とすることも可能です。
食材のストックを置いたり、料理しながら必要なものを取り出すにも便利です。
収納の中身を見せないために壁と同系色の扉で閉めて、すっきりとスマートに隠すことも出来ます。
階段は間取りとの関係性が高いため、打ち合わせの時にどのような階段にしたいかを想像することが大切になります。
どのような生活を過ごしたいかをよく話し合って決めるのがおすすめです。
階段の魅力や注意点を把握して、自分たちに合った素敵な家をつくりましょう。
それでは。